職人技(わざ)

ジュエリーの世界でも製造にかかわる機械の進歩が著しくキャスト製造機、ダイヤバイト機、レーザー溶接、彫刻機等々による制作が主流になり、新しく職人になる人が少なく、業界に入り機械を覚えると作業が出来るので本当の職人がいなくなりました。普及品の量産するジュエリーはそれでも良いのですが、本来の職人技が光るジュエリーは無くなってきました。

一本一本鍛冶屋のように鍛造で作るジュエリー。長い年月修行を重ね根気よく地金と向き合い地金のご機嫌が判るようにならないといけません。気候や、地金の持って生まれた組成などによって製品に影響が出ます。なかなか磨いても光らなかったり、馴染まなくスが入ってしまったり地金のご機嫌を損ねると良い商品はできません。仕上がった鍛造ジュエリーは芸術品です。

あちらこちら職人を探しても年を取り廃業したり、亡くなっていたりの状況です。現存している職人も高齢化の一途をたどっています。本来のジュエリーは一個作りの大切な財産です。昔のジュエリーは作りもシッカリして細かいところまで手が入っています。以前大名のお姫様の飾り物の修理を預かったことがありましたが、あまりにも精巧に手の入った仕事に感嘆した覚えがあります。今は手を真っ黒にして職人になろうとする人は少ないです。それでも志を持って職人の世界に入る人もいますが、長い年月下積みをしなければ独り立ちできないことが判ってくると辞めて離れていってしまいます。

ヨーロッパなど国が率先して優遇して大切に育てている所が多くあります。腕時計の世界も同じで日本がクオーツ時計で世界を席巻しましたが、飽和状態になると安物の機械時計イコール日本製で、スイスの職人が作る時計が世界の高級時計で世界中を席巻しています。我が社も一時期は機械を導入し大量生産をして香港、シンガポール、マレーシアに輸出して拡大しましたが、価格競争と、デザインの変換に常にさらされ、本物のジュエリーではないのではないと考えさせられ、ハンドメイドの職人技の製品作りにまい進して現在あります。

昔、純金リングは普通にありましたが、今のジュエリーショップの店員さんや業界の人たちも純金は柔らかく製品にならないという固定観念になっていますが、違うのです。純金も鍛造製法で刀を作るよう火に入れて叩いては締め、地金の色を見ながら叩いては締め密度を上げて作る純金は硬度があり黄金の輝きを放つのです。エジプトの黄金の装飾品を見てください。何千年経っても黄金の輝きを放っています。たかが一本の甲丸の指輪でも職人の丹精込めた技は長い年月にも耐えられる製品を生み出しているのです。