パラジウムが歴史始まって以来の高値を付けました。2020年一月1g=8,000円を超えました。
元来パラジュウムは90%以上が工業用に用いられ、(商品)銘柄の分類上、貴金属というカテゴリに入りますが、実態としては、銅やアルミニウムのような産業用金属に近いと言えるでしょう。

パラジウムが貴金属に分類されるのは、プラチナと同じような触媒作用を持っている事や、宝飾品の割金(わりがね)として、プラチナと混ぜ合わるなどの使用法があるためです。

現状のパラジュウム鉱山は他の貴金属の副産物として生産されることが多く、パラジウム専門の鉱山はほぼありません。南アフリカなどではプラチナを生産した際に副産物として得られることが多く、またパラジュウムの最大生産量のロシアではニッケルを産出する際の生産が大半です。パラジウムだけを他の金属のように単独で生産量を増加させることは難しいでしょう。

パラジウムの主な供給国は、ロシア(約40%)と南アフリカ(約35%)です。年間生産量は約210トン位、プラチナの年間生産量も200トン位とほぼ同じ位です。パラジウムは水素を吸蔵する事が出来る為、水素の精製・水素添加触媒に使われています。またその触媒機能の高さから排気ガス浄化装置にも使われています。需要は、プラチナと同様に自動車触媒で約60%が最も多く、電子・電気が15%前後、宝飾品が5%前後、歯科が5%前後です。

パラジウムの価格がこのところ上昇している一つの要因に、排ガス規制やCO2排出削減の為の自動車触媒向けの需要がプラチナからパラジウムへシフトし、需要が増えたこともありますが、今後主流になるとみられる電気自動車(EV)の燃料電池にはプラチナやパラジウムの触媒が必要ありません。いずれパラジウムの需要も減少する時期が来るのではないかと考えています。

では何でこんなに高騰したのでしょう?

時系列の相場を見てみましょう
1990年から1997年ごろまではパラジュウム1g=500円台、プラチナが1g=1500円台、金が1g=1400円台
1998年、1999年、2000年、2001年はロシアの供給懸念の為パラジュウムが1g=2500円台になったこともありましたが、2012年までの約10年間は1g=1000円を切ったり1300台、1500台、1600台、1800台、2100台、プラチナが2300円台から3300円台、4800円台、5600円台を行ったり来たりし、金は1300円台から4500円台迄上がりました。

その後2013年からパラジュウムは2400円台3000円台4000円台と値を付けプラチナは4900円台、3800円台、3400円台、金は4600円台、4900円台、5300円台、5900円台でした。

ついに2020年1月パラジュウムが1g=8976円迄あがりました。プラチナが4050円、金が6086円です。

パラジュウムは10年前までは500円台から1500円台ぐらいでした。金・プラチナと比較して馴染みがなく価格や安いので投機の対象となり、2000円台3000円台、4000台、5000円台と徐々に静かに上がり途中2013年頃から何度か暴落説が出ましたが2019年には金・プラチナより高くなってしまい、ついに2020年1月プラチナの二倍以上となってしまいました。1992年平均パラジュウム価格487円が2020年1月8976円です。ほぼ投機だけの価格暴投でロシア等の生産調整などの要因はありません。今後パラジュウムの価格は需要と供給とはかけ離れ投機だけが多くの要因の為、予断を許しません。

過去30年間の年平均相場の一覧にしました。相場の流れを読んでください。

2020年1月16日

年号
PdPtAu
199067523771918
19915141774
1690
199248716031518
199356114641393
199459914631377
199558714081269
199657915241475
199785716841404
1998139617231355
1999150415151122
2000264620651065
2001258422421161
2002155923501361
200391127661469
200497031591546
200586933981697
2006138045512400
2007153752482790
2008137256853088
200994939063100
2010167448653650
2011210747374260
2012183442844536
2013249849774677
2014301451024655
2015302443594927
2016240038154747
2017348238044942
2018403534744909
2019598633885334
2020/01/16897640506038