昨今ジュエリーによるアレルギーが多く質問が寄せられます。
抗菌生活時代で生きている現代人はアレルギーに弱く花粉症や色々のアレルギーに悩まされています。ジュエリーとアレルギーについて40年以上業界に携わってきた経験から書いてみたいと思います。アレルギーになる理論は指輪やネックレスなどの金属が汗などによってイオン化して溶けだし皮膚と結合して異物への免疫反応を起こす状態を言います。ジュエリー業界としてこの問題は長年、金属の分析をして性質を調べてみたり、大学と共同検査をしてみたり、医学的にパッチテストによる検査など厚生労働省のモニター報告に参画したりして状況を分析しています。結果的に大きな要因と最も原因と思われる要素は把握できています。

金属アレルギーと接触性アレルギーに関して

金属アレルギーと接触性アレルギーに関して

アレルギーになるのには大きく分けて2つあります。
一つは金属その物が原因による金属アレルギーです。今一つは接触性アレルギーです指輪やネックレスが肌と接触して起こす反応です。

金属で無く木でもゴムでも同じです。よく靴下や下着のゴムにかぶれる反応と同じです。金属で最もアレルギーを引き起こす材質はニッケルとコバルトが原因です。ニッケルは合金にする割がねとして使われたり、メッキの材料として使われています。非常に使い勝手のよい材料で金やプラチナとよく馴染み加工性の良い金属です。またメッキ材料としては輝きと装着性が良く長く使われてきました。コバルトも合金材料としてもメッキ材料としても同じく使われてきました。ニッケルもコバルトも現在国内ではほとんど使われていませんが、海外ではまだ使われています。又、金、プラチナの合金18金、14金、10金、9金やPt900、Pt950、Pt850などは他の金属と混ぜた合金です。18金は75%の金と25%の銀と銅の合金です。この合金にする作業による化学変化もアレルギーの要因の一つと考えられています。金でもプラチナでも純度が高ければ高いほどアレルギー反応は起こりにくいと考えられています。またメッキもメッキ作業による化学変化もアレルギーの要因の一つと言えます。

プラチナのダイヤの婚約リングなどほぼ仕上げにロジュームメッキを施しています。売っているお店も把握していないところが多くあるようです。プラチナのダイヤモンドの指輪なのにアレルギーが出るが、お店ではプラチナなのでアレルギーは出ませんと説明を受けたのにと言う質問が稀にありますが、実はメッキが要因だったのです。最もアレルギーの可能性の低い材料は純金と純プラチナです。加工が非常に難しい物質ですが高度の技術の鍛造(たんぞう)製法ですと製品化できるのです。