印台はどこで買っても同じと思われる方もいると思いますが、実は印台ほど良し悪しがでるものもありません。印台の製造は昔はすべて叩いて手作りで職人が時間をかけて作り込んでいました。しかし最近はキャストの技術が一般的になり簡単に量産するようになりました。キャストとは鋳造(ちゅうぞう)と言い型に流し込んで作る技術です。簡単にどんな形でも原型さえ作っておけば何個でも、いつまでも同じものが作れます。色々の製品がたくさん作れ、難しい技術も特に必要ありません。現在出回っているほとんどのジュエリーはキャスト製法です。弊社は鍛造製法で1本1本作る印台リングです。

鍛造印台リング

ジュエリーをハンドメイドで作る技術は長い修行と感性が必要でほとんど職人が居なくなってしまいました。卓越した技術を持った職人がハンドメイドで作る品物は正に芸術的な工芸品です。特に印台は大きく厚みのある商品ですのでキャストとハンドメイドの違いが著しく現れる品物になります。キャストの型に流し込んだ印台は鍛造(たんぞう)製品と比べると、極端に言うとスポンジ状態です。鍛造(たんぞう)製法は日本刀を作るように火に入れ叩いては締め、火に入れては叩いては締めを繰り返し密度が上がった締まった地金になります。それを力強く叩いて丸く指輪の形状に曲げて印台の形に整えていきます。こうして作られた印台は硬度がありキャストの印台と違い非常に硬い印台が出来上がります。印台は大きく印面も厚い為、よくあちこちに当て指輪が傷だらけになりますがキズの度合の違いが大きく出ます。鍛造(たんぞう)製法と違い柔らかいキャスト製法の印台と硬いハンドメイドの印台では見た目で傷、へこみの違いが判ります。

火入れ
鍛造製法3
鍛造製法4

また型で作った印台はサイズ直しで、それぞれの指輪の号数を合わしていきます。指輪の腕が一定の為、厚みが薄いのが一般的です。ハンドメイドで作った印台は、指の号数や印面の大きさとのバランスで指輪の腕の厚みを十分にたっぷりと取り製作します。印台の愛用者は指輪の腕の腹の厚みの薄いのを嫌います。また印台の命である印面の仕上がりですが、ここに大きな違いが出ます。キャスト製法の印台は鋳造(ちゅうぞう)で型への流し込みで作り仕上げをバレル(鏡面に仕上げるボール玉での攪拌)仕上げやバフ(回転する布で磨く)仕上げで上げるためダレた仕上がりになります。鍛造(たんぞう)製法によるハンドメイド製法ですとヤスリできっちりと印面を仕上げ最終バフ仕上げなのでピシッと角も立ち印面のシャープさが際立ちます。印台は印面がダレているかピッシとなっているかが大きな差です。印台は印面が命となります。